絶対音感の弊害

絶対音感の弊害

絶対音感を持つ人の中で、音程について非常にシビアな人(いわゆる「人間音叉」の人。この能力は非常にすばらしいのですが、逆に弊害もあります。

実は、このような能力を持っている人の大部分は、ある基準音(たとえば、A=440Hz)をベースにした平均律に基づき音程が正しいかどうかを判断しています。さらに、絶対音感保有者の一部の人は、これ以外の音を「すれた気持ち悪い音」と考えてしまう場合もあるようです。


前ページまで書いてきたように、平均律の音律に基づく音というのは、実は「綺麗な音」ではなく、本来は理想的な音ではないこともあるのです。

にも、かかわらず、理想的ではない音以外は許せない、という耳を持ったとしたら、、ちょっと悲しいと思いませんか?

それに、調律の基準になる音についても、現代音楽ではAなら440Hzというのが一般的ですが、あえて、442Hzとか445Hzとかに変えたりする場合があります。実は、これだけで曲の雰囲気が変わります。今回の例のように音を微妙に上げると、きらきらとした感じが出ますし、メロディ等を弾く際にややチューニングを高めにすると、周りから浮いてはっきりと聞こえる音になります。

もし、このような音を受け入れられないとしたら、、これも表現の幅を狭めることになり、ちょっと悲しいですよね。

いずれの場合でも、自分の知らない「許せない音」、と思わず、曲の雰囲気に合う音を積極的に取り入れていけるようになってほしいのです。


細かい周波数差を絶対的に認識できる能力を持っているのはとてもすばらしいことです。でも、たかだか平均律12個の音を覚えるだけでは非常にもったいないと思います。

平均律に乗らない音はいっぱいありますし、基準音を変えただけで世界が変わることもあります。

それを、たかだか1オクターブを12分割した音程を正確に理解できるだけで他の音を排除してしまうと、音楽の深い世界の一部分しか見えていない、ということにもなりかねません。

むしろ、その能力をさらに磨いて、微妙に違う他の音を正確に認識できるまで能力を磨いてほしいのです。

極端に言えば、1オクターブを1200分割くらいした全ての音を聞き分けられて、自在に使いこなせる能力を持っているならば、、、、、これは、本当にすごいことになると思います。

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